8. 物理的なオブジェクトをリンクする

装置やその個々の設定は、データの幅広い領域の発生源を指し示す重要なものです。そのため、それらはいずれもものとしてのインターネット (IoT) を構成するものであり、それら装置のデジタルデータとしての表現やカタログのメタデータとしてだけでなく、物理的なアクセスを可能とするための関連する識別の仕組みにとって、非常に重要なものです。したがって、究極的には「現実の世界を仮想の世界にマッピングする[1]」ためのものです。このようなアクセスは、科学の再現性に不可欠なものです。実験の設定を比較したり、分析を繰り返して行えたりできるようになるからです。

物理的オブジェクトを仮想的な表現にリンクする、最も手っ取り早く、かつ間違えにくい方法は、装置、あるいはその装置の外装に、装置管理番号やシリアルナンバーといっしょに、PIDのラベルを恒久的に書き込んだり埋め込んだりすることです。より小さなセンサーのような装置では、ラベルを付与するスペースが限られているため、機械可読な方法で識別情報をエンコードすることができる、近代的なQRコードやバーコードのほうが便利かもしれません。おすすめの方法は、PIDの動作する (actionable) URI (Figure 8.1). をQRコードに埋め込むことです。そのようなQRコードのバッジを読み込んだときに、PIDといっしょに装置管理番号やシリアルナンバーが人間に読める形で表示されるのが理想的です。QRコードのジェネレータによっては、組織のロゴを追加したり、GPSを使ってラベルがスキャンされた場所を捕捉できるようなスキャン追跡機能を追加したりしたりすることもできます。

物理的なオブジェクトにバーコードやPIDの文字列でのラベル付けができない場合でも、装置のデジタル的な表現によるリンクは、メタデータの適切な管理によって行うことができます。装置においては、シリアルナンバーや管理番号など、装置を一意に識別する識別子を記録することで、そのようなリンク付けを行うことができます。

PIDINSTスキーマのメタデータには、シリアルナンバーや装置管理番号に対する明示的な項目がありませんが、この目的に使用できる、あらゆる種類の識別子を保存するための一般的な方法を提供しています。AlternateIdentifier には、どのような種類の識別子の文字列でも記録でき、alternateIdentifierType (Snippet 8.1).ではその識別子の種類を指定することができます。PIDINSTスキーマでは、serialNumberinventoryNumber を使用することを推奨しています。シリアルナンバーや装置管理番号に対する明示的な項目の使用については、現在PIDINSTで検討中です。

QR code

Figure 8.1 組織のロゴを含み、QRコードスキャナーをPIDのURL (http://hdl.handle.net/21.T11998/0000-001A-3905-F) にリダイレクトするWebページのQRコードの例

Snippet 8.1 XMLで表現された装置のシリアルナンバー
  <AlternateIdentifiers>
     <AlternateIdentifier alternateIdentifierType="serialNumber">7351-349l-mn24-019f</AlternateIdentifier>
  </AlternateIdentifiers>

PIDINSTスキーマのメタデータにシリアルナンバーを保存することに加えて、PIDの付与後すみやかに、組織内のセンサー管理システムや物品管理システムにそのPIDを保存することを強くおすすめします。これによって、物理的な表現と仮想的な表現のリンクの管理を、センサー管理システムとPIDレジストリのどちらからでも行えるようになります。また、どちらかのシステムでリンクの情報が壊れても、リンクの関係が保てるようになります。