4. PIDINSTメタデータスキーマ
装置のPIDとともに登録されるメタデータは、ネットワークやインフラストラクチャを越えて装置を明確に識別するのに十分な情報を含む必要がある。また、関連するリソースを装置にリンクすることができ、装置に関する情報を集約する手段を提供する必要があります。PIDINSTワーキンググループは、これらの基準を満たすために、PIDプロバイダーで装置のPIDと一緒に登録できるメタデータのスキーマを定義しました。バージョン1.0は、RDA勧告[1] として承認されています。
現在、メタデータスキーマは2種類あります。オリジナルの PIDINSTスキーマ は、ワーキンググループが収集したユースケースの評価に基づき構築されており、ePICインフラストラクチャにおけるメタデータプロパティのプロトタイプの実装に利用されています。2つ目のスキーマは、PIDINSTメタデータプロパティとDataCite Metadata Schema 4.3間のマッピング を提供するものです。以下では、オリジナルのPIDINSTスキーマにおけるプロパティを説明し、そのセマンティクスについて議論します。
- Identifier
装置のPID。サブプロパティである identifierType には、PIDのタイプが格納されます。(例: ePIC Handle の場合 Handle、DataCite DOI の場合 DOI)
- SchemaVersion
レコード作成に用いられてた PIDINST スキーマのバージョン。
- LandingPage
PIDが解決し紐づけられるランディングページのURL。
- Name
装置の名称。装置を管理する組織内においてユニークでなければなりません。また、意味がある名称であることが望まれます。
- Owner
装置を管理する組織または個人。これは法的な所有者・機関である場合もあります。また、装置の運用や設置管理、装置の利用提供を行う組織である可能性もあります。疑わしい場合は、潜在的なユーザーがアクセスするために用意されたインスタンスの可能性もかあります。メタデータには、複数の owner が登録されている場合もあります。
Owner は複数のサブプロパティが定義された複合プロパティです。サブプロパティには少なくとも ownerName が定義されています。他のサブプロパティには、連絡先として ownerContact 、所有者の一般的な識別子として ownerIdentifier、さらにそのタイプを示す ownerIdentifierType がオプションで用意されています。
- Manufacturer
装置を製作した組織または個人。既製品の場合、これはおそらく装置を市場に提供する業者名となります。カスタムメイドの装置の場合、manufacurer は owner と同一の可能性があります。後者の場合、owner と manufaturer の両方が登録されることになります。疑わしい場合では、 manufacturer は装置の技術的な仕様を定義した機関でもあります。 同様にメタデータには複数の manufacturer が登録されている場合もあります。
Owner と同様に、Manufacturer は、manufacturerName, manufacturerIdentifier, manufacturerIdentifierType のサブプロパティを持つ複合プロパティです。
- Model
装置のモデル名またはタイプ名。既製品の場合は、メーカーがつけた製品名となることがあります。カスタムメイドの装置の場合では 'model' 名がないこともあります。したがって、このプロパティは必須ではありませんが、値を取得できる場合は推奨されます。Model の識別子が既知の場合、オプションのサブプロパティ modelIdentifier と modelIdentifierType を使うことができます。
- Description
装置とその機能についてのテキストによる説明。これは人が内容を理解できることを主な目的としています。装置がどのような物であり、何ができるのかの概念を提供する必要があります。
- InstrumentType
装置のタイプに関する分類。階層的な分類により、装置の記録のグルーピングが可能になります。
Owner、Manifacturer、Model と同様に、InstrumentsType は、InstrumentTypeName、InstrumentTypeIndentifier、InstrumentTypeIdentifierType のサブプロパティを持つ複合プロパティです。
- MeasuredVariable
装置が測定または観測する変数や物理的特性。いくつかのコミュニティでは、それぞれの領域に固有の測定変数を識別するための用語を確立しています(共通用語の利用 を参照)。もし、そのような標準が適用できる場合、それを MeasuredVariable に利用すべきです。そうでなければ、テキスト記述を利用することもできます。
- Date
対象の装置インスタンスに関連するイベント(いつ運用を開始し、いつ停止したかなど)。各 Date プロパティは、イベントの性質を指定するために dateType サブプロパティが必要です。
- RelatedIdentifier
これは、装置について説明する文書や外部のメタデータ記録など、関連リソースへのリンクを確立するために利用できます。場合によっては他のメタデータ規格を利用して装置に関するより詳細な情報を提供することも可能です。
別の応用例として、ある装置が大幅に変更された場合、変更された装置に対して新しいメタデータレコードとともに新しいPIDを発行することが理にかなっていると考えられます。この場合、それぞれのPIDは一方が他方の新しいバージョンであることを示すために互いに関連付けられなければなりません。
さらに複雑な装置では、より大きな実験ステーション内の個々の検出器のように、構成要素毎にPIDを発行することが意味を持つことがあります。この場合、それぞれのPIDの間にリンクを設けることで、複雑な装置とその構成要素の間の関係が確立される必要があります。
このプロパティを用いて確立されたリンクは、装置に関する豊富な情報の自動集約を実現するため、特に有用です。各 relatedIdentifier は、関連する識別子のタイプと関係のタイプをそれぞれ指定するため、relatedIdentifierType と relationType のサブプロパティを持つ必要があります。
- AlternateIdentifier
装置のインスタンスが、永続的な識別子とは別に他の場所にも登録されている場合、AlternateIdentifierは、これらの登録項目への参照を格納する場所となります。一般的な利用例としては、製造元が付与したシリアル番号や、所有者が使用する装置管理番号などがあります。逆に、他の装置データベースやアクセスポータルが、PIDINSTメタデータから参照されるべき装置のエントリを保持することもあります。
alternateIdentifierType サブプロパティは、代替識別子の種類を指定する必要があります。標準化された値があればその値を利用する必要があります。シリアル番号と装置管理番号の場合においては、推奨される値はそれぞれ serialNumber と inventoryNumber となります。